ジブリの作品にランクを付けるとしたら、自分はトップ3に入れるほどぽんぽこは名作だと思った。
というのも最近の金曜ロードショーでぽんぽこを見たのだが、昔見た時とはまるっきり違う衝撃を受けた。
昔はラピュタとかナウシカとかそういう冒険譚みたいなものが好きで、ぽんぽこはなんか能天気でイモ臭いと思っていたが、この歳になってみるぽんぽこは涙が出そうになる程感動したのだ。
単純に失われていく自然のテーマも共感した。
これは昔見た時からわかっていた事だし、多分ぽんぽこを見た殆どの人は感じた事だろう。
多摩ニュータウン開発における里山の減少。自然破壊を訴えるアニメだった。
多摩ニュータウンに行ったことがあり、身近な場所として感じる自分にはよりいっそうの共感を呼んだ。
ただぽんぽこは単純に自然破壊や人間の業を訴えた作品ではない。
作中にたびたびでるたぬき達の能天気さが最大の魅力だと思う。食いっけがあり、歌い、恋し、おどる。
子供のころはそういったものは特になんとも思わなかったのだが、大人になってそういう無邪気な楽しさを見ていると心がいやされるのと死にたくなるのといろいろな感情がこみあげてくる。
能天気さや自然破壊、人間の業、それ以外にもぽんぽこに秘められたテーマは多い。例えば人間を嫌いながらもハンバーガーや文恵美の利器などに群がるたぬきは「滑稽」の文化を象徴しているようにも思えるし、アメリカナイズドされた日本人を照らし合わせることもできる。ぶんた達が最後に特攻精神で玉砕したのも少なからず戦前戦後の日本人の精神も反映されているだろう。
私たちの視点、たぬきの視点、作中の人間の視点、また色々な考えをもつたぬき一匹一匹の視点で見るとこの作品は非常に多角的な文学的要素を含んでいる。
ジブリアニメでなく普通の小説として発表されていても必ずやヒットしただろう。それほどに素晴らしいストーリーと物語の描写であった。
もちろんそこにジブリの描写力が加わった事でアニメ映画屈指の名作となっている。
クライマックスのシーンで残ったたぬき達が力を合わせて昔の多摩の里山の姿をよみがえらせるシーンがある。そう見えるだけの幻ではあるが、そのシーンは究極の懐古と言えるシーンであった。
平成狸合戦ぽんぽこ。素晴らしき映画だった。
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